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鼻歌の断末魔

日曜の朝。木造アパートの薄い壁を通して、バイオリンを練習する音が聞こえる。
それは音楽ではなく、のたうち回る音の傷跡。
言葉の代わりに鼻歌で会話する極北の原住民が、その最期にあげる断末魔のように。

最近アーチェリーというものを始めた。人生で初の趣味というものが出来た。
やるほどに学ぶことは多い。
弓と矢はそれ自体、的を正確に射貫く性能を持っているので、いかにその性能を邪魔しないように体を土台とするか、つまり、道具よりも体の身分が低いのだ。
人は意思を持っているので、つい自分が世界の中心と考えてしまうが、そんな馬鹿なことがあるもんか。
環境にリアクションし続けて出来上がった、なんとなく出来上がったわたくし。
個人というのは所詮、存在の若輩者でしかないのだ。

色々考えながら矢を射るのだけど、元々体の神経がどんくさい人間なので、矢は的を外れまくる。
「いや、的を射るのが最終目的ではないのだ。的というのは一つの通過点で、如何に自分の体が物理法則の中できちんと方向のはっきりした土台となっているかの、確認作業なのだ!!」
、、、いくら大きい事をいっても、出来ていないものはどうしようもない。
ブレブレの私は、やはり土台としてもきちんと機能せず、矢は的を外し続けるのであった。
by shiitakesentaku | 2016-11-20 09:03 | 2016年11月


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